最近では、企業間の年賀状のやり取りや社内間での年賀状のやり取りを、「虚礼廃止」の名目でやめる企業が増えています。

年賀状の虚礼廃止をする場合は、企業間でのやり取りの場合はもちろん、社内でのやり取りの場合でもきちんと相手にやめることを通知しなければなりません。

今回は、年賀状の虚礼廃止について紹介していきます。


虚礼廃止とは?

虚礼廃止とは、「虚礼を廃する」ことを指す言葉です。

虚礼とは「中身が伴っていないにもかかわらず表面上で見せかけている、形骸化した儀礼」という意味ですので、虚礼廃止は「形だけのやりとりをやめる」という意味になります。

虚礼廃止は特に企業間や社内で使われる言葉で、お中元や年賀状、お歳暮の時期によく使われます。

広まる虚礼廃止の風潮

年賀状の虚礼廃止について

虚礼として一番例に上げられるのが年賀状です。

最近では特に若い人を中心に、新年の挨拶をメールやLINEなどで済ませてしまい、プライベートでは年賀状を出さないということも珍しくありません。

実際に年賀状を廃止してしまえば、年末の時期にプライベートな時間とお金を費やして年賀状の準備をしなくてもよくなります。

また、年賀状を誰に送るべきなのか、送っていない方から年賀状が送られてきたらどうしようか、などの余計な気苦労もなくなります。

ですので、時代の流れと共に年賀状の虚礼廃止は今後も進んでいくと思われます。

年賀状のやり取りは減り続けている

近年のビジネスの現場では、コミュニケーションをメールでするのが当たり前になっています。それに伴い、はがきなどでのコミュニケーションの機会はほとんどありません。

年賀状についても同様のことが言えます。

若い人のみならず年配の方の間でも、年賀状を毎年出す人はここ十数年の間に減少し続けています。

年代などに関わらず、ビジネスの現場では年賀状の虚礼廃止の流れがどんどん広まっているのです。

これは「年賀状を出なくても特に大きな問題はない」という事実を裏付けることであるとも言えるでしょう。

社内ルールでの虚礼廃止

社内でも虚礼廃止の方針を取っている会社も年々増えています。

勤めている会社で虚礼廃止が通知された場合は、どのような場合でも基本的には年賀状を出す必要はなくなります。

「社会人のマナーとして年賀状は出すべき」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、
虚礼廃止にも関わらず年賀状を出してしまうと、年賀状を受け取った相手を困惑させてしまう可能性があります。

ですので、社内で虚礼廃止が通達された場合は、「年賀状は不要である」と認識してください。

そもそも年賀状を送る理由は、昨年の感謝を伝えつつ、今年も変わらぬ付き合いをお願いするためのです。

そのため虚礼廃止には、「年賀状を送ってもらわなくても、今後も変わらぬ付き合いであると信じていますよ」という意味も含まれていると言えます。

年賀状の虚礼廃止のメリット

年賀状を準備して投函するには、どうしても費用や労力が必要になってしまいます。

特に企業宛に年賀状を出さなければならない場合、取引先の企業の数が多くなっていくにつれて、年賀状の作成にかかる費用や送り先の情報の管理、送り状の作成などの必要な業務なども膨れ上がってしまいます。

そのため、虚礼廃止を導入して年賀状のやりとりをやめることで、経費削減や業務効率化につながると言えます

年賀状の虚礼廃止の文例

企業が取引先に年賀状の虚礼廃止を伝える場合

企業間での年賀状の虚礼廃止の連絡は、メールなどでするのが一般的です。

メールの件名を「年賀状の廃止についてのご連絡」としておけば、受け取った相手にも分かりやすくなります。

文章の内容ですが、まずは簡単に時候の挨拶などを述べ、その後に

「経費節減等のため、本年度から、全てのお取引先様に対しても年賀状の送付を控えさせて頂くこととなりました」

のように書けば問題はありません。

角が立たないように「経費削減のため」という理由をしっかり述べることが重要なポイントです。

また「全てのお取引様に」と付け加えて書くことで「他の取引先に対しても年賀状を断っている」ということを伝えるのも、余計な軋轢を避けるためには重要です。

社内の人に年賀状の虚礼廃止を伝える場合

社内の方に自分から年賀状の虚礼廃止を通知する場合もメールでの連絡が一般的です。

メールの件名は「本年度の年賀状に関してのご連絡」としておけば問題ありません。

文例ですが

「近年の社会情勢を考慮して、本年度から社内向けの年賀状の送付を控えさせて頂きます。
少し早いですが、来年の皆様のご多幸をお祈り申し上げます」

といった内容のメールを送るのが一つの方法です。

フェードアウトして年賀状を送らないようにするよりも、「社会情勢を考慮して」のように理由を述べて年賀状をやめることを連絡するようにすることで、あまり角を立てずに年賀状をやめることができます。

大切なのは「あなたのことをないがしろにしているわけではないですよ」ということをきちんと伝わる文章で書くことです。

また、年賀状を出さない場合は相手が年賀状の準備を始める前に連絡をしなければなりません。早い人は10月あたりから準備する方もおられます。遅くとも11月頃には連絡をするようにしましょう。

まとめ

年賀状の虚礼廃止の風潮は、メールやLINEなどの普及などの背景により、年々拡大していっています。

年賀状を虚礼廃止する場合は、しっかりと相手に対して通知をしてから行うようにしましょう。

また、社内で年賀状の虚礼廃止が通達されたにもかかわらず年賀状を送った場合は、受け取った相手が困惑してしまいます。

社内で年賀状の虚礼廃止が通達された場合は、年賀状を出さないようにするのがマナーです。