年賀状の発行枚数は年々減少傾向にあります。

2021年度に年賀状発行枚数はついに20億枚を下回りました。

また、近年では年賀状スルーという言葉も生まれており、年賀状離れは加速しているといえます。

今回は現在の年賀状1人当たりの枚数や、年賀状発行数が減少している理由についてご紹介いたします。

近年の年賀状の発行枚数について

2022年度用の年賀状の発行枚数

日本郵便の発表によると、2022年用のお年玉付き年賀はがきの当初発行枚数が約16億4,000万枚で過去最低となる見込みであることを発表しました。
(参考URL:早くも来年用の年賀はがきデザイン発表、当初発行枚数は12年連続減少

2021年の年賀はがき発行枚数は19億4,000万枚なので、前年比で約10%減になっています。

人口1人あたりに出す年賀状の枚数は14枚ほどとなります。2021年は1人あたり16枚ほどでした。

年賀はがきの発行枚数は12年連続で減少しています。

なお、2022年の発行枚数は2004年以降で最少になります。

さらに年賀はがきは新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受けました。

実際に、企業が広告用として年賀状を送っていましたが、新型コロナウイルスの影響によって広告費用を削減している企業も多いとされています。

そのため、昨年に比べ企業が送る年賀状が少なくなると予想されます。

コロナ流行前の2020年度用の年賀状の発行枚数は?

2020年用の年賀はがきは、24億4,090万1,000枚です。

2019年用の確定発行枚数は25億5,929万6,000枚で、前年比4.6%の減少でした。なお2018年は28憶8,600万枚でしたので減少傾向は継続しています。

元旦に発送される枚数

2020年の元旦に全国で配達された年賀郵便物数は、12億8,700万通でした。人口1人当たりで計算すると、約10通となります。

2020年に発行された年賀はがき枚数は23億5,000万枚なので、半分以上が元旦に配達されたことになります。

発行枚数は年々減っている

初年度は1.8億枚

年賀状は日本古来の文化で、現存する最古の年賀状は平安時代のものです。

今のように、日本の郵便行政が年賀葉はがきを発行するようになったのは戦後、1949年発行・1950年用のものが初めてです。

年賀はがきが発行される以前は、年賀郵便用の年賀切手が戦前から発行されていました。

発行当初の年賀はがきの枚数は1億8000万枚であり、年賀はがきは戦後日本の経済復興や人口の増加、高度経済成長に伴って年々発行枚数が増えていきました。

1964年には10億枚、1973年には20億枚を超えるほど発行されるようになり、日本が10年ごとに大きく成長したことがわかります。

ピークは2003年

年賀はがき発行枚数のピークは2003年の44億5936万枚です。

2003年をピークに、2008年までは減ったり増えたりを繰り返していたのですが、2008年から現在まで、年賀状の発行枚数は減少し続けています。

年賀状の枚数が減少している理由として、「人口が徐々に減っているので年賀状の需要も人口とともに減少しているのではないか」という意見もあります。

しかし、人口推移自体は短期間では急激に減少しているわけではありません。

そのため、人口に大きな減少が見られないことから、一人当たりの発行枚数も34.9枚となる2003年がピークと考えられます。

(参考URL:年賀葉書の発行枚数などをさぐる(2020年8月発表版)

SNSの普及が年賀状離れを加速させている?

年賀状離れが進む原因としてよく挙げられるのが、SNSの普及です。

2020年に総合筆記具メーカーの株式会社パイロットコーポレーションが調査したアンケートでは、新年の挨拶に使うツールで「LINE等メッセージアプリ」(74.7%)が「年賀状」(60.7%)を上回る結果になりました。

(画像引用元:株式会社パイロットコーポレーション

次いで「メール」(38.1%)、「Facebook」(14.7%)、「Twitter」(12.6%)、「電話」(9.2%)、「Instagram」(8.4%)となっており、年賀状をわざわざ送らなくても手軽に連絡が取れるため、年賀状の利用が減っていると考えられます。

また、SNSは住所を知らない相手であっても挨拶を送ることができます。

SNSは送るための準備もいらず、年賀はがきのように購入費用も不要なので、送りやすいことが年賀状よりも人気になっているのではないでしょうか。

ただし最近は、SNS上で知り合った本名や住所を知らない相手にも年賀状を送ることができるサービスも誕生しています。

年賀状スルーとは

2019年には「終活年賀状」「年賀状じまい」に加え、「年賀状スルー」という言葉が注目されました。

年賀状スルーとは名前の通り、年賀状をもらっても出さないことを指します。スルーは「無視する」という意味があるので、年賀状そのものの存在を無視してしまおうというような意味で使われています。

年賀状スルーをする人には大きく分けて3つの理由があります。

①年賀はがきの1枚63円が高いと感じる

②相手の住所を知らない

③年賀状を書く時間と手間が負担に思える

また、最近は個人情報を気にするという人も年賀状を避ける傾向にあるようです。

年賀状スルーは若者だけの話ではありません。

世間では会社ぐるみで年賀状をやめたところも多くあり、「何百枚も年賀はがきにお金を使うことは無駄な経費であると判断した」という理由があるようです。

「年賀状は出すことが常識である」という考えから徐々に変わってきているのでしょう。

個人も法人も年賀状は出すことが常識という概念は薄れてきています。

年賀状は出さなくてもよいという風潮が続くと、今後も年賀状の発行枚数は減り続けていく可能性は高いと思われます。

メールで年賀状を済ませても大丈夫?

年賀状は「旧年の感謝と新年のあいさつを、相手の1年の多幸を祈ることと同時に送るもの」なので必ず年賀はがきでなくてはならないというルールはありません。

そのため、年賀状をメールやSNSなどで送ることもマナー違反とはならないのです。ただし、相手によってはメールのマナーを守らなくては失礼になります。

メールで年賀状を済ませる場合、4つの基本マナーを守るようにしましょう。

①件名に年賀メールであることをわかりやすく入れておく

ビジネスで利用する場合は、会社名や新年の挨拶を件名に入れておくとよいでしょう。

②一斉送信はしない

メールは一括送信ができるので、まとめて送ってしまおうと考えている方もおられると思います。しかし、受け取り手からは義務感を覚えさせたり、雑な印象を抱かせてしまいかねません。

せめて相手の宛名や一言メッセージを添えるようにしましょう。

③ファイルの添付をしない

かわいいグリーティングカードをURLで表示させるという方法はおしゃれに見えるかもしれませんが、受け取り手は何通もの年賀メールを受け取っているかもしれません。

相手に確認をとらせる手間や負担を減らすためにも、ファイルの添付などは避けておきましょう。

④環境依存文字を使わない

環境依存文字は、表示できる環境にあれば問題ありませんが、もし相手が表示できない場合は文字化けを起こしてしまいます。

文字化けがあると内容を把握することもできないので、環境依存文字は使わないようにしましょう。

まとめ

年賀状は年々減少していますが、忙しい年末に自分と縁のある人を思いながら年賀状を用意するのは特別な気持ちになります。

忙しい日々の中で少しだけ、落ち着く時間を確保できることは年賀状ならではの魅力ではないでしょうか。

親しい相手にこそ、年賀状を送ってみると良いかもしれませんね。


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